「最近インコのくしゃみが多くなった気がする」「鼻水が出たり、呼吸が苦しそうに見える」。
こんな様子が気になることはありませんか? 実はこれらの症状は、放置すると肺炎などの深刻な病気に進行することもあるのです。
今回はご家庭でできる症状のチェック方法と、動物病院での診察・検査の流れについてご紹介します。インコの健康を守るために、早めの対応がとても重要です。
【まずはご家庭でチェック!症状リスト】
以下の項目に当てはまる症状はありませんか?
☑︎くしゃみの回数が多い、または鼻水の色が透明や黄緑色になっている
☑︎呼吸音がゼーゼー、ヒューヒューと聞こえる
☑︎食欲や元気がいつもより落ちている
☑︎頻繁にあくびをする、首をよく振る
☑︎顔や首の周りが腫れているように見える
【インコのくしゃみや鼻水の原因は?】
インコの呼吸器症状には、次のような原因があります。
① 細菌による感染(大腸菌、シュードモナス、ボルデテラ、ブドウ球菌、クラミジア、マイコプラズマなど)
② ウイルスによる感染(インフルエンザ、アデノウイルス、パラミクソウイルス、ヘルペスなど)
③ 真菌(カビ)による感染(アスペルギルス症、カンジダ症など)
また、症状が現れる場所によっては次のような病気も考えられます。
・鼻炎、副鼻腔炎
・咽頭炎、喉頭炎
・結膜炎
・寄生虫感染(特に文鳥ではトリコモナス感染が一般的)
・アレルギー、有害ガスの吸入、ビタミンA不足によるトラブルなど
【動物病院での検査ってどんなことをするの?】
病院ではまず症状や飼育環境について詳しくお聞きします。その後、以下のような検査を行います。
胸のレントゲン検査や必要であればCT検査を行い、肺炎や真菌感染の可能性を確認します。
状況に応じて喉や鼻からサンプルを採取し、細菌やウイルスの有無をPCR検査で調べたり、血液検査などを実施する場合もあります。
【治療ってどんなことをするの?】
原因が分かったら、それぞれの症状に合わせて治療を行います。
細菌性の場合:抗生物質と抗炎症薬を処方
真菌性の場合:抗真菌薬を中心に治療
症状が重い場合は酸素室での治療や点滴などを行い、定期的な通院(週に1回程度)で症状の経過を見守ります。
また、治療中はご家庭でも環境改善や栄養管理をサポートしていただくことで、より早い回復が期待できます。
【ご自宅でできる応急処置とよくある質問】
ご自宅での対応方法と、よくある質問についてお答えします。
■ 応急処置
加湿器を使ったり、蒸しタオルで湿度を上げてあげましょう。
直射日光が当たらず、静かな環境にケージを置き、栄養管理や温度管理に注意しましょう
■ よくある質問
Q:「透明な鼻水なら病院に行かなくても大丈夫?」
A:1日に10回以上くしゃみが出る場合は早めに受診しましょう。軽い鼻炎でも、放置すると副鼻腔炎など重い症状に進むことがあります。
Q:「同じケージの他の鳥にうつることはあるの?」
A:感染する可能性がありますので、同じケージの鳥とは分けて飼育し、早めに獣医師にご相談ください。
【大切なインコのために】
インコのくしゃみや鼻水が気になったら、軽い症状であっても専門の動物病院でのチェックをおすすめします。早めの対応で症状の重篤化を防ぎましょう。ご不安なことがありましたら、いつでもお気軽に当院までご相談ください。