「いつもと便の様子が違う」「水っぽくてやわらかい便が出ている」そんな症状に気づいたことはありませんか?下痢は放置すると脱水や栄養失調を引き起こし、命に関わることもあります。この記事では、ご家庭でできるチェック方法と、専門の動物病院での糞便検査・診断の流れについてご紹介します。
【まずはご家庭でチェック!症状リスト】
以下のような症状がある場合は注意が必要です。
- 下痢の頻度が増えている、形が緩い・水っぽい
- 便の色が透明、淡黄色、緑色などに変化している
- 血便や粘液が混じっている
- 食欲が落ちてきた、活動量が減っている
- 体重が減少している
【考えられる主な原因】
① 細菌性腸炎(サルモネラ、パスツレラなど)
- 不衛生な環境や新規個体との接触が原因で感染しやすくなります
- 抗生物質の使用により腸内細菌のバランスが崩れ、腸疾患が起こることも
- モルモットに使用できる抗生物質でも症状を引き起こす場合があるため注意が必要です
② 消化管寄生虫(モルモットバランチジウム、コクシジウムなど)
- 原虫の多くは常在菌で、すべてが治療対象ではありません
- 腸内環境の乱れや免疫低下により発症することがあります
③ 食餌性消化不良(与えすぎ・急な餌の変更など)
- 野菜の与えすぎ、繊維不足、高糖質な餌が原因になることがあります
④ ストレス性下痢(環境の急変、暑さなど)
- 音・匂い・温度変化なども影響します
【動物病院で行う検査内容】
① 問診・視診
- 下痢の始まった時期、餌の内容、環境の変化、同居個体の健康状態などを伺います
② 糞便検査
- 顕微鏡で寄生虫卵や細菌の状態をチェックします
③ 血液検査(必要に応じて)
- 脱水や電解質のバランス、炎症の有無など全身の状態を確認します
④ 超音波検査(必要に応じて)
- 腸管の厚みや腹腔内の異常の有無を評価します
【治療の流れ】
- 寄生虫が原因の場合:駆虫薬の投与と整腸剤の併用
- 細菌性腸炎の場合:抗菌薬の使用+点滴治療
- 消化不良・ストレスが疑われる場合:餌の見直し、整腸サポート、環境改善
- プロバイオティクスやプレバイオティクスの活用も行います
- 通院頻度:初診後3〜5日で再診し、必要に応じて週1回のフォロー
【ご自宅でできるケアとよくある質問】
■ ケアのポイント
- 新鮮な水をしっかり用意する
- 繊維質の多い牧草を中心に与える
- 市販薬を使わず、必ず獣医師に相談してから治療を行う
■ よくある質問
Q:「数日で治るでしょうか?」
A:2日以上下痢が続く場合は早めに病院で診てもらいましょう
Q:「整腸剤を自宅で与えても大丈夫?」
A:獣医師の指示があるものだけにしてください。種類によっては逆効果になることもあります
【大切なモルモットの健康のために】 モルモットの下痢は軽視できないサインです。早期に原因を特定し、適切な対処をすることで回復が早まります。気になる症状が見られたら、お早めに当院までご相談ください。